大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)1277号 判決

控訴人は、被控訴人が右賃借地上に設置した剣道場が控訴人の診療所に接近しており、その騒音震動が甚しいため控訴人の歯科診療業務に支障を来し、到底賃貸借関係を継続させることができないと主張して、これを賃貸借の解除事由の一としている。一般に賃借人による賃借物の使用方法が著しく常軌を逸し、賃貸人に迷惑を及ぼし、これにより相互の信頼関係を破壊するような場合には、これを理由として催告を要せず賃貸借契約を解除することも可能であると解せられるので、本件の場合がこれに該当するか否かを検討するに、原審証人野沢寿江の証言、当審における鑑定人岡原勝の鑑定の結果及び検証の結果によれば、右道場における剣道の稽古から生ずる雑音がこれと四、五間を隔てるに過ぎない控訴人の歯科診療所に聞こえて来て相当騒がしく感ぜられることは認められるが、人体に感ずる程の振動が伝わることは認められず、又右騒音の程度は都会生活において通常認容されている程度を甚しく超えるものでもないことが右各資料により認められるので、特に使用方法の限定ないし騒音防止の特約の認められないこと前記のような本件においては、この程度の騒音を発することを以て当事者相互の信頼関係を害し賃貸借関係の継続を困難ならしめるものと断定することはできない。従つてこれを理由として賃貸借を解除することはできない。

(川喜多 小沢 位野木)

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