大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)2118号 判決

一、公衆浴場法第二条第三項が公衆浴場開設の不許可の事由の一つとして、設置場所の配置の適正を要求しているのは、何ら場所的規整を施さないと、公衆浴場の偏在乱立を来たし、業者間に無用の競争を招き、ひいては利潤の低下経営の行きづまりを生ぜしめ、その結果浴場施設の補修改善や浴場の運営にも公衆衛生上看過できない悪影響を及ぼすおそれがあるので、これを未然に防ごうとするにあるものと解すべきところ、公衆浴場の配置が適正かどうかの判定には、既設浴場との距離が最も主要な点となることは明らかであるが、必ずしも右距離ばかりでなく、土地の状況、予想利用者の数、人口密度等の事情をも考慮して判定するのを相当とする場合もあるべきことは見やすい道理であるし、公衆浴場法の規定中に特に反対の趣旨も窺われないから、右判定の基準を、原則として既設浴場からの一定の距離の存することと定め、例外として、右各事情を考慮し、公衆衛生上知事が必要と認めたときは、右の一定の距離を保たなくともよいこととしたからといつて、前記浴場法の規定による委任の範囲を逸脱したものとはいわれない。

二、しかして、右都条例第二条の運用に当り、その本文所定の距離がない場合、本文によつて不許可とすべきか、但し書によつて不許可としない(許可とする)か、換言すれば但し書所定の各事情を考慮して公衆衛生上浴場の新設を許すことが必要か否かを決するには、多分に技術的行政的考慮を必要とすべく、このことに鑑みれば、かゝる判定は、それが事実上の根拠を欠き、または公衆浴場の配置の適正を保持しようとの前記立法趣旨を逸脱し、社会観念上著しく妥当を欠くと見られる場合を除き、知事の裁量に委ねられているものと解すべく、かゝる裁量の限界を越えない限り、許可の処分を以て違法ということはできない。

(鈴木禎 中村 花淵)

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