東京高等裁判所 昭和34年(ラ)825号 決定
しかしながら、本件不動産競売手続開始決定には競売の原因たる債権の表示として、「金壱百参拾壱万六千七拾参円也、手形貸付残元金、但し昭和二十七年二月二日受附第四七五号及び昭和二十八年五月二十八日受附第二七七六号に基く根抵当順位第一番第二番極度額弐百五拾万円也の残元本、此の弁済期日昭和三十二年二月七日、他に右元金に対する昭和三十二年二月七日以降完済に至るまで日歩金五銭の割合による延滞損害金」と記載されていることは記録上明白である。右の記載によれば本件抵当権実行の原因たる債権は、債務者桑都繊維株式会社が債権者株式会社日本相互銀行に対して負担した弁済期を昭和三十二年二月七日とする約束手形金債務の残元金百三十一万六千七十三円とこれに対する昭和三十二年二月七日以降日歩金五銭の割合による遅延損害金であることが認められる。而して根抵当権設定契約に基く貸借の場合においては被担保債権額は常に一定しているとは限らないが、その被担保債権の最高限度は確定されているから従つて個々の債権成立の年月日、金額、弁済期等を遂一個別的に明示しなくても、根抵当権の内容と現存債権額とを明らかにすることによつて抵当権実行の原因となつている債権は特定できるから前記の記載は競売原因の事由たる債権の表示として欠けるところはないというべきである。
(奥田 岸上 下関)