大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(う)1485号 判決

被告人 加藤富三

〔抄 録〕

弁護人の論旨第一点の二及び第二点について。

原判決挙示の証拠を総合すると、原判決判示事実はすべてこれを認めることができる。論旨は被告人は昭和三十三年八月二十五日梁瀬自動車株式会社に入社し、爾来同会社営業部目白営業所長として勤務していたもので、自動車の運転手ではない。従つて自動車を滅多に運転することはなく、まして自動車の運転を反覆していたものではないから、被告人の本件自動車の運転は業務ではないと主張する。よつて案ずるに、刑法第二百十一条にいわゆる業務とは人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う事務であつて、他人の生命身体等に危害を及ぼす虞あるものをいうのであるが、その事務が主なる職務たると否とを問わず又反覆継続する意思さえあれば、ただ一回の行為でも業務といい得るものである。

なる程当審証人熊谷茂の証言によると、被告人は所論のとおり昭和三十三年八月頃梁瀬自動車株式会社営業部目白営業所長として、主として同営業所の営業たるオートバイの販売、修理に関する業務の監督の地位にあつて、自動車運転の職務を担当していたものでないことは窺われるが、原判決が挙示する被告人の検察官に対する供述調書によると、被告人は既に昭和二十八年頃自動二輪車の運転免許を受けていたが、右目白営業所長就任後である昭和三十四年五月頃小型自動四輪車の運転免許を受けたというのであるから、被告人は右目白営業所長としての職務に関連し、必要あるときは、自動車の運転を反覆継続する意思を有したものというべきであるばかりでなく、右検察官に対する供述調書によれば右のように自動車の運転免許を受けて何時も自動車の運転をしていたというのであつて、しかも自動車運転の如きは、他人の生命、身体等に危害を及ぼす虞のあるものであること論をまたないから被告人の本件自動車の運転はその業務として行つたと認めるのが相当である。記録を精査し当審における事実取調の結果に徴しても原判決に所論のような事実の誤認があるとは認められない。論旨は理由がない。

(岩田 渡辺辰 司波)

註 本件は量刑不当で破棄

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