大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(う)2896号 判決

被告人 金文圭

〔抄 録〕

検察官の控訴趣意に対する判断。

所論にかんがみ、記録を精査しかつ当審における事実取調の結果をも加えて原判決科刑の当否を検討してみると、本件事故たるや巡査がストツプの幕と危険表示の標識をたてて電燈を左右に振りながら交通整理をしていたのに気付かずその前方約一五米の地点で交通事故実況見分中の巡査及び関係人三名に被告人運転の車を衝突させて右前方にはね飛ばしたものであり、その過失の内容、その結果として一名を死亡せしめ二名に重傷を負わせたこと、加うるにいわゆる酩酊運転なる無謀な操縦行為をあえてしていること、そして被告人の犯罪歴とくに同種違反行為の前科が二犯あることなどよりみて、はたまた、人命尊重道路における危険と交通事故の防止、交通安全の確保及び交通違反取締官職務遂行の安全保障などの見地からいつて、きわめて重視すべき事案であつて、検察官所論のうち被告人において十分な慰謝の方法が講ぜられていないとの点については必らずしも同調できないが、その余の所論はいずれも採用に値するものであつて、被告人を禁箇八月に処した原判決の量刑はまことに軽きに過ぎる不当なものということができる。それで、検察官の論旨は理由があつて原判決はこの点において破棄を免れない。

(尾後貫 堀(真) 堀(義))

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