東京高等裁判所 昭和35年(く)67号 決定 1960年6月14日
少年 C
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の理由は申立人実父F、同附添人梶原止連名提出の抗告申立と題する書面に記載されたとおりであつて、要するに、少年の改悛の情、両親の少年に対する更生のための努力が期待されること、少年の就職先が内定していること等に照らし、原決定のなした処分は著しく不当である、ということに帰する。
よつて本件少年保護事件記録及び少年調査記録を調査勘案するに、本件非行の態様は必ずしも重大ではないが、少年はすでに高等学校在学中夜遊びを覚え、昭和三十四年八月同校を中途退学するのやむなきに至り、その後も徒遊癖から抜けきれず、昭和三十五年三月三日東京家庭裁判所において暴行保護事件につき保護観察処分決定を受けたにかかわらず、何等改むるところなく益々その傾向を助長し、最近に至つては、喫茶店で知合つた不良仲間を結集して不良グループの結成を企て、同志獲得のため本件非行に及んだもので、その不良化は相当程度に進んでいるものと認められ、また少年の性格に短気、粗暴、爆発的に暴力行為に走り易く、てんかん性性格に近い傾向が窺われ、他面少年の保護者等には保護監督の意慾は認められないではないが、その能力に欠けるものというの外はない。従つて、少年に対しては、相当期間施設に収容の上、規律ある勤労生活を通じて前記性格を矯正し、その保護育成を期する必要があると考えられるから、この措置に出た原決定は相当である。その他原決定には、決定に影響を及ぼすべき法令の違反、重大な事実の誤認、処分の著しい不当ありと疑うべき事由は存しない。
よつて、本件抗告は理由がないから、これを棄却することとし、少年法第三十三条第一項に則り、主文のとおり決定する。
(裁判長判事 岩田誠 判事 渡辺辰吉 判事 司波実)