東京高等裁判所 昭和35年(ツ)154号 判決
借地法第十条の建物の買取請求は賃借人の債務不履行によつて土地の賃借権が消滅した場合を除けば、第三者の建物取得当時に賃借権が存在すれば足り、その後賃借権が消滅しても行使することができるのであるが、第三者が買取請求権を行使する前に土地の賃貸借契約が賃借人の債務不履行によつて解除せられた場合には第三者は建物の買取請求権を有しないものと解するを相当とする。もし後の場合にも建物の買取請求ができるものとすると、債務の不履行をしている賃借人は賃借地上の建物を第三者に売渡し、その買受人から賃貸人に対し買取請求をすることによつて、賃借権は消滅するにかかわらず、第三者を介して自ら買取請求をなしたと同一の結果を納め、借地法第十条の趣旨に副わないこととなるからである。
(村松 伊藤 杉山)