大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ツ)93号 判決

記録によれば、被上告人は別件川崎簡易裁判所昭和三十年(ハ)第一二五号建物収去土地明渡請求事件(上告人の本件土地不法占有をその請求の原因とするもの)において上告人との間に成立した裁判上の和解(その内容は上告理由第二点(一)について述べるとおり)に定めるところに従い本訴において本件地上の上告人所有建物の収去及び土地の明渡を訴求し、原判決は右のような内容の和解が成立したことを認定し、被上告人の本訴請求を認容したものであつて、前記和解の成立の肯認される以上、各当事者はその定めるところに従う義務あることは当然である。憲法第十三条の規定は、自ら他人の土地を正当の権原なくして占有することを認め、一定の猶予期間後右土地の明渡しを約定した者に、その約定を反故にさせるような結果を招く幸福追求を認めるものではない。本訴において被上告人が上告人に対し約旨に従う土地明渡の義務の履行を求めることは当然の権利の行使であり、これがため上告人が損失を蒙ることがあるとしても、もとより右被上告人の所為を憲法第十三条に違反するというべきものではない。

(梶村 室伏 安岡)

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