東京高等裁判所 昭和35年(ネ)1020号 判決 1967年3月01日
別紙当事者目録記載のとおり
東京都千代田区丸の内三丁目一番地
控訴人 東京都
右代表者東京都知事 東龍太郎
右指定代理人東京都事務吏員 三谷清
<ほか四名>
右訴訟代理人弁護士 吉原欽吉
被控訴人等の住所及び氏名
東京都葛飾区新宿町四ノ三二三 瀬戸口文彦
<ほか八二名>
右被控訴人等訴訟代理人弁護士 佐伯静治
彦坂敏尚
藤本正
芦田浩志
岩村滝夫
坂東克彦
雪入益見
鹿野琢見
福田力之助
藤井英男
被控訴人井上啓、同日比谷昌彦両名訴訟代理人弁護士 村井正義
石川正一
田原俊雄
右当事者間の昭和三五年(ネ)第一〇二〇号給与支払請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件各控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人等は、「原判決を取り消す。被控訴人等の控訴人に対する請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人等の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人等は控訴棄却の判決を求めた。
≪以下事実省略≫
理由
被控訴人等が昭和三三年一一月当時いずれも原判決添付別表記載のとおり、東京都内の公立学校の教員であって、その給与が市町村立学校職員給与負担法第一条により、控訴人の負担とすることと定められており、毎月一二日に控訴人から被控訴人等に対し、その月分の給与として前記別表本給欄記載の各金額の支払がなされることと定められていたことは当事者間に争がなく、控訴人が被控訴人等に対し、昭和三三年一一月一二日同月分の給与を支払うに際し、被控訴人等の各給与から前記別表請求金額欄記載の各金額を減額して支払ったこともまた、当事者間に争がない。
そこで次に控訴人主張の抗弁について考えるのに、被控訴人等が東京都教育委員会からあらかじめ平常どおり勤務するように命じられていたにも拘らず、控訴人主張のように平常勤務日である昭和三三年九月一五日に早退し、前記別表「カットされた時間」欄記載の時間勤務を欠いたことは被控訴人等において争わないところであり、被控訴人等は右早退につき都教育委員会の承認を得ていたことをなんら主張立証しないから、右承認はなかったものと認めるほかない。そうして控訴人は被控訴人等の右無断早退の事実に基づき、「学校職員の給与に関する条例(昭和三一年九月二九日東京都条例第六八号)」第一六条第一項、第二〇条の規定により、被控訴人等が右早退によって勤務しなかった時間相当分の給与である前記別表請求金額欄記載の各金額を、昭和三三年一一月分の給与から減額し、その残額を被控訴人等に支払ったものである旨主張するので、右減額の適否について判断する。
≪中略≫
そうして以上に述べたところを本件について見るのに、被控訴人等が都教育委員会の承認を得ずに早退したのが昭和三三年九月一五日であり、その当時の被控訴人等に対する給与支給日が毎月一二日であったことは前記のとおりであるから、同年九月分の給与は既に支払済であり、従って、右過払給与の減額をなし得べき最初の機会は、同年一〇月一二日の一〇月分の給与支払の際である。しかし控訴人はその際、右減額をなさず、同年一一月一二日の一一月分の給与支払の際本件減額をなしたのであるから、右減額は前述したところから明らかなとおり、不適法なものといわざるを得ない。
仮りにこの点を一歩譲って、減額事由発生後最初に到来した機会に減額をなすことが社会通念上不可能であると認められるような特別の事情があり、しかもそのことが客観的にも明白であるような場合には、その後に到来する減額が可能となった最初の機会に減額をすることが許されるとしても、その要件の審査に当っては、特に厳格な態度を以て臨むべきことは、既に述べたところから明らかであろう。
ところで控訴人は本件減額を昭和三三年一一月一二日以前にはなし得なかった旨主張し、これは右に述べたような意味での特別の事情が存在したとの趣旨の主張に解し得るので、この点について判断するのに、≪証拠省略≫を総合すれば、次の事実を認めることができる。すなわち本件減額の原因となっている昭和三三年九月一五日における被控訴人等の早退は、東京都教職員組合傘下の教職員が当時実施を予定されていた勤務評定に反対し、統一的な一斉早退として行われたものであって、その参加人員も二千人を超える多数にのぼった。ところで都教育委員会としては、これを事前に防止しようとして都教育委員会教育長名義により、都区立学校長宛教職員の指導監督に意を注ぐとともに、もし万一教職員に違法な行為があった場合にはその氏名、事実等を適確に把握し、これを速やかに報告すべき旨通牒を発していた。しかし結局右一斉早退は実施され、各学校長より同年九月一八、九日頃までに都教育委員会に対し、文書ないし電話連絡等の方法により、一斉早退当日の生徒の登校状況、授業の状況及び教職員の早退の状況等に関する報告がなされ、その結果前記のとおり多数の教員が、当日都教育委員会の承認を受けることなく早退した事実が判明するに至った。しかし多数の教員が一斉早退に参加したため、当日各学校においてかなりの混乱が生じ、各学校長において正確な状況を把握することが必ずしも容易でなかったこともあるし、また短時日の間に徴した報告であったためもあって、右報告の形式にも不統一の点があるのみならず、その内容もやや正確さを欠く嫌いがあった。
一方都教育委員会としては、無断早退に対する給与減額あるいは違法行為に対する懲戒処分等の措置を講ずる基礎資料とするため、右の報告を徴したのであるが、その目的のためには当然統一的かつ正確なものであることを要すると考え、前記報告では未だ不十分であるとし、都教育庁人事部職員課職員係主事八名をして、前記報告事項につきさらに正確かつ詳細な調査をさせることとした。ところで右職員係主事八名は、人事管理につき平常三班に分れてそれぞれ担当地区を定め、各担当地区の資料を持ち寄って全体会議にかけたうえ、これをまとめる建前となっていた。そこで本件においてもこの建前に従い、前記各学校長からの報告提出直後から下調査を開始した。そうして同年九月一杯に完了することを目途とし、各区教育委員会の指導室長、各市教育委員会の人事担当課長、西、南、北の三多摩郡、大島、三宅、八丈の各島嶼に設けられている都教育庁出張所の副所長等の協力のもとに、事前における校長の所属教職員に対する指導の方法、内容、当日における児童、生徒の登校の状況及び授業の状況、教職員の早退の状況、早退についての校長の許可の有無等について調査をした。しかし前記のとおり一斉早退に参加した教職員が広範囲の学校にわたりかつ多数にのぼったこと、また当日各学校においてかなりの混乱が生じ、各学校長において教職員の勤務状況を正確に把握することが必ずしも容易とはいえなかったこと等の事情もあり、一方調査を担当した職員係主事には、その本来の担当事務として教職員に対する懲戒処分に関する訴訟事件及び東京都人事委員会の公開口頭審理事件等の処理事務、都下公立小、中学校、高等学校の校長、校務主任等の補充異動人事事務、昭和三三年九月一五日をその提出期限とされていた勤務評定に関する補充事務等があり、その処理と平行して本件調査事務を行った関係もあって、本件調査は思うように進捗せず、九月一杯は書類による調査程度で終った。そうして同年一〇月に入ってから各区市町村で必要な点についての現地調査を行い、同月中旬以降にまとめた調査結果を各区市町村に連絡し、その確認を得たうえ改めて報告書を提出させることとした。そうして各区市町村から右報告書が提出されたのは一〇月下旬であり、これを点検のうえ、同月末に調査完了の運びとなった。そこで同月三〇日都教育委員会教育長本島寛名義を以て、各区市教育委員会教育長及び教育庁出張所長宛、九月一五日の一斉早退参加者中早退時間数が三時間以上の者に対し、給与の減額をなすべき旨通牒を発し、これに基づき該当者に対しては一一月五日までに右減額すべき金員を返納すべきこと、もし返納がなければ一一月分の給与から差し引くことが通知されたが、期日までに返納がなかったので一一月分の給与から本件減額がなされるに至った。なお、都教育委員会は前記調査結果に基づき、教職員五名に対する停職の懲戒処分、同じく二五九八名に対する文書訓告の措置をとることを同年一一月二七日議決している。≪証拠判断省略≫
以上認定の事実によって考えるのに、まず都教育委員会が昭和三三年九月一五日の一斉早退に関する調査事務を、都教育庁人事部職員課職員係主事等に担当させ、右主事等を主体として調査を行わしめたこと自体については、別段違法の点は存在しない。都教育委員会としては、教職員の適正な人事管理をなす観点から必要な調査をなし得ることはもちろんであるし、また給与減額事務に限定して考えてみても、後記のとおり管内教職員の給与の減額認定権が各区市教育委員会に委任され、あるいは都教育庁各出張所長の専決するところと定められているにしても、都教育委員会としては一般的な指揮監督権を有することもちろんであるから(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二七条参照)、給与減額事務に関して必要な調査につき指揮監督し、適当な助言ないし指導をすることは、なんら非難を受ける筋合ではないというべきである。しかしながらこのことと、給与減額に必要な調査が職員係主事を主体としなければ不可能であったか否か、あるいは職員係主事を主体とすることによって調査が遅延した場合に、これを正当化することができるか否かとは、おのずから全く別個の問題である。本来給与の減額認定権は「東京都教育委員会の権限委任に関する規則(昭和三一年一二月二七日東京都教育委員会規則第一九号)」第三条の規定により、区市教育委員会に委任されており、また「東京都教育庁出張所設置等に関する規則(昭和三二年五月二八日東京都教育委員会規則第二三号)」第七条第一項第一〇号の規定により、都教育庁各出張所長の専決するところとなっているのである(この点については当事者間に争がないものと認める)。そうして本件におけるように、教育委員会の承認を得ないで勤務しなかったことに基づく給与の減額について明らかにすべき事項は、勤務を欠いた教職員の氏名と勤務を欠いた時間数及び右勤務を欠いた点についての教育委員会の承認の有無に尽きるのであって、いずれも裁量の入る余地のない事項である。ところでこれらの点については、校務を掌り教職員を直接監督する立場にある校長(学校教育法第二八条第三項、第四〇条参照)が最も正確かつ迅速にこれを把握し得る立場にあり、通常の場合においては職員係主事が主体となって調査しなければ明らかにし得ない事項であるとは考えられない。本件における一斉早退の参加者の範囲が広範でかつ多数にのぼっており、当日における各教職員の勤務の態様が一様でなかったとしても、ことをその実態の把握という点に限るならば、結論に差異が生ずるものとは思われず、その他職員係主事を主体として行わなければ、本件調査が不可能であったというような事実を認めさせるに十分な証拠は存在しない。また控訴人は、本件調査は懲戒処分等の事後措置のために必要な資料をも得る目的でなされたのであり、従ってこのためには全体的な視野に立って実態を統一的に把握することを必要とし、かつその方面の高度の知識を要するとともに秘密にわたる事項でもあるため特に職員係主事をして担当せしめた旨主張する。しかし本来本件におけるような給与の減額は、ノーワーク・ノーペイの原則上当然のことであって、その要件も前記のとおり比較的簡明な事項であり、理論上裁量の入る余地もないのに反し、懲戒処分あるいは将来の人事管理に必要な資料に供するとすれば、給与減額についてとはまた別個の観点からの調査も必要となる場合も考えられる。しかしながら給与減額について必要な資料と、懲戒処分ないし人事管理について必要な資料とを同時に得るように調査を行わなければならぬ特段の必要がある場合はともかく、本件においてはこのような特段の必要があったことを認めるべき証拠は存在しないから、控訴人主張のような事由を以て、本件給与減額に関する調査を職員係主事をしてなさしめなければならなかった理由とすることはできないし、またそのための調査の遅延を正当化する根拠とすることもできないといわなければならない。むしろ前記のとおり本件におけるような給与の過払を原因とする減額は、減額事由が発生した当該月の給与から減額をなすことが社会通念上不可能な場合に、かつ給与の過払があった後最初に到来した減額をなし得べき機会に限ってこれをなし得ることを原則とする趣旨から考えれば、右減額は能う限り迅速になすべきものであり、従って減額をなすにつき調査を必要とする場合においては、能う限り迅速にこれを完了し得るような方法によるべきものといえよう。そうして職員係主事を主体として調査を行わしめることが、右のような趣旨に合致するものと認めさせるに足りる証拠は存在しない。もっとも≪証拠省略≫によれば、本件減額に関する調査に際し、昭和三三年九月一五日における教職員の勤務の実態が区々であり、これを正確に把握することにかなりの困難が伴なったこと、従来業務に支障ない場合には校長が一割五分ないし二割程度の早退を認める慣行があり、当日校長がそれを上廻る相当数の早退を認めた学校もあったし、また早退を認める教職員を特定せず、一定の人数を限って早退を認めた事例もかなり多かったところ、それを超過する人数の早退者が出たため、何人が承認を得ずに早退したこととなるのか判断に迷う事例もあったこと等が認められるけれども、右各証拠並びに弁論の全趣旨によれば、このような調査自体の困難さが調査の完了を遅延させた主たる原因ではなく、むしろ前記認定のとおり職員係主事等が右調査以外の異動人事事務その他の担当事務処理に忙殺されていたことが、遅延の主たる原因であると認めることができる。この事実は、職員係主事を主体として本件調査を行わしめたことが、妥当だったとは認められないとの前記認定の正当さを裏づけるものであるばかりでなく、仮りに職員係主事をして調査を行わしめたのが妥当な措置であったと仮定しても、右のような事由が調査の遅延を正当化する根拠とならないことはいうまでもない。そうして通常の給与支払の事務手続が、控訴人主張のとおりであることは当事者間に争がなく、右主張によれば、各小中学校において各人別の給与の支給額を明らかにした支出仕訳書を作成し、所管の各区市教育委員会ないし都教育庁各出張所長宛提出するのは、各給与支給日の七日ないし一〇日位前までというのであるが、前記認定の事実によれば、昭和三三年一〇月分の給与から減額をなすための事務手続上必要な期限までに、右減額についての調査を完了することが、客観的に不可能であったと認めることはできず、他にこの認定を左右するような証拠は存在しない。従って昭和三三年一一月一二日以前には本件減額をなし得なかったことを以て本件減額が適法であるとする控訴人の主張は、既にこの点において失当であり採用に値しない。
最後に控訴人は、本件減額が労働基準法第二四条第一項本文に違背するとしても、右は法令である前記「学校職員の給与に関する条例」第一六条第一項に基づいてなされたのであるから、労働基準法第二四条第一項但書所定の法令に別段の定がある場合に該当し、適法である旨主張するので、この点について判断する。前記条例第一六条第一項は、「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認のあった場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二十条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」旨規定しているが、右規定は給与の減額をなし得る場合と、減額の計算方法とを定めたものであって、減額事由が発生した月の翌月以降の給与から減額することを無制限に許容する趣旨を明示していないことは、その文言から明らかである。従って右規定は、減額事由が発生した当該月の給与から減額をなす場合、及び前記判示のとおりその後の月の給与から減額することが例外的に許容される場合に適用されるべきものであって、控訴人主張のように、減額事由の発生した月と合理的なものとして許容される程度に接着した期間内の減額を、一般的に許容した趣旨の規定と解することはできない。控訴人は右規定をその主張のような趣旨に解釈しなければ、本件におけるように減額事由の発生前にその月の給与が支払われている場合には減額が不能となるから、そのような不能を強いる規定と解すべきではない旨主張する。しかし本件におけるような場合にも、原則としてその後到来する減額をなし得べき最初の機会に減額をなし得ると解すべきことは、既に判示したとおりであり、従って同規定は控訴人主張のような趣旨に解釈しなくても、不能を強いる規定ではないし、また適用される場合が考えられない死文といえないことも自明である。もちろん控訴人主張のような趣旨に解釈した方が、使用者にとって便宜であろうことは間違ないが、前掲労働基準法第二四条第一項本文所定の全額払の原則の趣旨を考えれば、同項但書所定の例外の場合は厳格に解釈するのが妥当であるから、控訴人主張のような趣旨であることが規定の文言上明示されていない本件のような場合に、安易に拡張解釈することは慎しむべきである。使用者としてはもしどうしても必要があるならば、その当時としては労働基準法第二四条第一項但書所定の労働者側との協定による適用除外の方法によればよかったのであって、かかる方法をとらない使用者に対してまで、前記のような拡張解釈によってその便宜をはかる必要は存しない。なお国家公務員について、「一般職の職員の給与に関する法律(昭和二五年四月三日法律第九五号)」第一五条が、前記条例第一六条第一項とほぼ同一内容のことを規定しているところ、人事院が右法律の実施及び技術的解釈に必要な人事院規則を制定し、及び人事院指令を発する権限を有することは、同法第二条第一号の規定によって明らかである。そうして人事院が右権限に基づき同法第一五条の運用方針として「……減額すべき給与額は……その次の給与期間以降の俸給及び暫定手当から差し引く。」旨の人事院指令を発しているとしても、もし右指令が無制限に次の給与期間以降の俸給等からの差引を許容する趣旨であるとするならば、後記のとおり国家公務員についても原則としてその準用があると考えられる労働基準法第二四条第一項の規定に照らし、その適法性には疑問の余地があるし、仮りに適法であるとしても、国家公務員のうち一般職に属する職員については、国家公務員法の第一次改正法律(昭和二三年一二月三日法律第二二二号)附則第三条の規定により、労働基準法の規定が一定の制限範囲内で準用されるのにすぎないのに反し、地方公務員については、地方公務員法第五八条の規定により、労働基準法の規定がいくつかの除外規定を除き、同法第二四条をも含め原則として適用されることとなっているように、両者と労働基準法の定める諸原則との関係を一様に解することはできないから、前記人事院指令を本件における控訴人の前記主張を裏づける根拠とするのは相当でない。従って前記条例第一六条第一項が、労働基準法第二四条第一項但書所定の法令に該当するとの控訴人の主張は採用できない。
以上に述べたとおり、控訴人において被控訴人等の昭和三三年一一月分の給与から本件減額をなしたのは、労働基準法第二四条第一項に違反する違法な行為というほかないから、被控訴人等は控訴人に対し、右一一月分給与債権の未払分として、減額された原判決添付別表請求金額欄記載の各金額の債権を有するものというべきである。よって被控訴人等より控訴人に対し、右各金員及びこれに対する支払期限後である昭和三三年一一月一三日以降完済に至るまで、民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は、その理由があるから正当としてこれを認容すべきである。よってこれと同旨の原判決は結局相当であるから、本件控訴を棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 満田文彦 裁判官 藤田耕三 裁判官中川哲男は海外出張中につき署名捺印することができない。裁判長裁判官 満田文彦)