東京高等裁判所 昭和35年(ネ)1060号 判決
次に、控訴人は、公証人が代理人により公正証書を作成する場合、必ず本人にその旨の通知をなすべきであるのに本件公正証書についてはその通知がなされなかつたから本件公正証書は作成手続上不備があり有効なものとはいえないと主張する。成程、公証人法施行規則第一三条の二は、公証人が本人の雇人又は同居者以外の代理人の嘱託により証書を作成した場合には証書作成の日から三日以内に本人に所定の通知をなすべきことを規定しているが、同条は訓示規定と解するのが相当であるから、同条の要求する通知をしなかつたとしても公正証書の効力に何らの影響をも及ぼさない。従つて、この点に関する控訴人の主張は、主張自体理由がないといわねばならない。
(菊池 花淵 山田)