大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)667号 判決

被控訴人渡辺浅が昭和三四年六月上旬ころ原判決添付図面表示の(B)の部分に木造瓦葺二階建家屋一棟建坪六坪の建築をはじめたことは当事者間に争いがなく、原審における控訴人渡辺浅、同大圃長吉各本人尋問の結果によれば、被控訴人大圃は昭和三四年二月ころから前記図面表示の(C)の部分所在の家屋に居住し、被控訴人らがそれぞれ本件通路を通行使用していたことを一応認めることができる。しかして控訴人が被控訴人主張のころ本件通路にその主張のように鉄条網を張りめぐらしたことは当事者間に争いがない。控訴人はこの点につき控訴人はあらたに鉄条網を張りめぐらしたのではなくて従来からあつた鉄条網を補修したにすぎない旨主張するけれども、これを認めるにたりるなんらの疏明もない。前記原審における被控訴人ら本人尋問の結果によれば、控訴人のみぎ行為により被控訴人らは公道へ通ずる唯一の通路である本件通路の通行を妨害せられ、前記建築ならびに日常生活にはなはだ不自由をしていることを一応認めることができるので、被控訴人らにおいてみぎ妨害を排除するさし迫つた必要があることは勿論で、もし、被控訴人らの被保全権利たる本件土地の占有権が疏明せらるるにおいては、被控訴人らは控訴人にたいしみぎ妨害排除の仮処分を求めうるものというべく、そのためには控訴人の施した前記鉄条網のうち、さまたげとなる部分を撤去するほか適当な方法がないことはあきらかで、本件弁論の全趣旨によれば、すくなくとも前記図面表示の(a)(イ)の各点を結ぶ線に沿つた部分の鉄条網を撤去することが必要な措置であることを一応認めることができる。

控訴人は本件通路を賃借人渡辺与惣治から転借して専用通行権を有する旨主張し、原審における控訴人本人尋問の結果中にはこの主張に沿うような部分があるが、みぎは原審における証人福田金四郎の証言および被控訴人本人らの供述にてらし信用できないのみならず、かりにそのような事実があつたとしても、このことは控訴人において本件通路にたいする他人の占有を実力をもつてうばいさることを合法化する理由となるものでないことはいうまでもないところである。

ところで、本件においては被控訴人らの占有に関する疏明はかならずしも十分とはいえないので、保証を立てることをもつてこれが疏明にかえしめることを相当と認めるところ、みぎ保証は原審で命じた金一万円をもつておぎないうるものと解する。

(牧野 谷口 満田)

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