大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)72号・昭35年(ネ)423号 判決

ところで被控訴人は、右支払を受けた四十四万千九百十七円の金員は本件貸金二十万円に対する昭和三十年三月五日から昭和三十二年八月十六日までの日歩二十五銭の割合による利息、損害金の弁済に充当されたものである旨主張するので按ずるに、前顕乙第一号証、当審における被控訴会社代表者笛田高義尋問の結果により真正に成立したと認める乙第二号証、並びに右尋問の結果および、原審における原告会社代表者兼原告本人山本守人尋問の結果(第一回、但し前記および後記措信しない部分を除く)を総合すれば、次の事実を認めることができる。すなわち、被控訴人が支払を受けた前記合計四十四万千九百十七円の金員はいずれも控訴会社から被控訴人に対し支払われたものであるが、右支払については、控訴会社はこれを元金または利息損害金の何れに充当するかを全然指定しなかつたものであるところ、被控訴人は支払を受けた都度、控訴会社に対し、それぞれ右金員を日歩二十五銭の割合で計算した利息の内金として受領した旨記入した領収証兼清算書を交付し、右書面の交付により控訴会社に対し弁済充当の意思表示をなしたわけであるが、これに対し控訴会社は遅滞なく異議を述べなかつたものであることが認められ、前顕各証拠と対照すれば、当審における証人築井清の証言、原審における原告会社代表者兼原告本人、当審における控訴会社代表者兼控訴人本人山本守人(原審は第一、二回)の供述中、右認定に牴触する部分は措信し難く、他に右認定を左右するに足る証拠はない。ところで、利息制限法所定の制限を超過する利息または損害金の約定は、同法第一条、第四条の各第一項により無効とされているのであるから、当事者が、かかる利息または損害金の約定をしても、制限超過部分については、法律上、弁済の対象たるべき債務は存在しない筋合である。それ故、たとえ債権者が債務者から支払を受けた金員を制限超過の利息損害金の弁済に充当し、債務者がこれに対し遅滞なく異議を述べなかつたとしても、かかる弁済の充当は無効であつて、右金員は、当然に、制限内の利息損害金および元金の弁済に順次充当されるものといわなければならない。このことは、利息制限法第一条第一項、第四条第一項および民法第四百九十一条の適用による当然の結論と解すべきであるが、右の如き解釈は利息制限法第二条が貸借成立の際に天引した超過利息を元本の支払に充てたものとみなす旨規定している趣旨にも合致し、かつ高利金融に対し経済的弱者である債務者を保護せんとする同法の立法趣旨および衡平の要求にも適合するものというべきである。

(牛山 田中 土井)

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