大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)828号 判決

証拠によれば、右松村勝雄は昭和三十二年十一月十三日被控訴人新妻商店に対し右工事代金中第一期支払分から金五十万円、第二期支払分から金五十万円合計金百万円を譲渡する旨を約し、同日右契約書に被控訴人茂原市の収入役石原了一から右譲渡を承認する旨及び年月日並に収入役氏名の記入と職印の押捺を受けたことを認めることができる。尤も右債権譲渡に関する書類(乙第二号証、丙第四号証)には右債権譲渡は訴外有限会社松村建設代表松村勝雄と被控訴人新妻商店との間に行われたように表示されているけれども前記のとおり請負人でない右有限会社が本件請負代金債権を譲渡するというのは殆んど無意味であること及び松村勝雄個人を右会社代表の表示がしばしば混用されていたという前認定の事実を併せ考えると右譲渡は訴外松村勝雄個人と被控訴人新妻商店との間に行われたものと解するのが相当であつて他に右認定を動かすに足る証拠はない。(もちろん乙第二号証、丙第四号証の譲渡人の表示から、逆に本件工事請負人は右松村勝雄個人でなく有限会社松村建設であつたとすることが当を得ないものであることは前説示によつて自ら明白であろう。)なお右石原了一のした承認は地方自治法の規定に照らし被控訴人茂原市を代表してなされた有効なものと解すべく、且右収入役は訴外松村勝雄個人の右譲渡を承諾したものと解すべきである。(従つて被控訴人新妻商店の新な債務負担の主張は理由がない。)また右収入役により日附が記入された右譲渡契約書は民法施行法第五条第五号の規定に徴しいわゆる「確定日附ある証書」と解するのが相当である。

(梶村 岡崎 堀田)

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