大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ラ)644号 決定

仮処分決定に対し債務者が異議の申立をなすと共に、その執行停止を求め、執行停止命令が発せられ、これに対し債権者から即時抗告があつた場合において、右執行停止命令については民事訴訟法第四一八条第一項の原則の適用はないものと解するを相当とする(昭和一一年二月六日大審院決定参照)。けだし、停止命令は一時的応急的性質を有するものであるから、もし即時抗告の提起に執行停止の効力ありとすれば、仮処分異議に関する裁判が、その目的を失う危険を避け異議の裁判をして異議者保護の実績をあげんとする停止命令の趣旨が実現されないこととなり、執行停止制度の目的は簡易に滅却されることになるからである。本件において抗告人(債権者)と相手方(債務者)間の仮処分決定に対しては、相手方からの申立により右仮処分決定の執行停止決定がなされ、これに対する抗告人の即時抗告により右停止決定は取消され、相手方の執行停止の申立は却下されたとはいえ、一旦停止決定がなされ仮処分決定は一応その執行が停止されるに至つたものであり、抗告人の主張する相手方の建築は前記抗告審の取消決定告知前即ち右執行停止決定の効力の存続中になされたものであることは抗告人の主張自体により明白であるから、相手方のなした建築をもつて抗告人の主張するように前記仮処分決定に違反するものというわけにはいかない(違法な執行停止決定として取消されたとしても、その取消の効力が遡及するものではない)。従つて相手方の建築をもつて前記仮処分決定に違反するものであることを前提とする抗告人の本件申請を却下した原決定は正当で本件抗告は理由がない。

(薄根 元岡 小池)

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