東京高等裁判所 昭和35年(ラ)76号 決定
抗告人提出の甲第一、第二、第十五号証を綜合すると、相手方は、抗告人において前記調停調書の条項第二項の賃料一ケ月一坪につき金二円の支払を六ケ月分以上怠つたがため、同調書の条項第八項により本件土地賃貸借契約は解除され、抗告人は本件建物を収去して本件土地を明渡すべき義務が発生したとして、これにつき執行文の付与を受けたものであることを認めることができる。ところで賃料を遅滞なく支払つたかどうかということは、本来債務者たる賃借人が立証する責任を負つているのであつて、民事訴訟法第五一八条第二項の場合に限つてこれを別に解して、債権者たる賃貸人において立証する責任があると解しなければならない合理的な理由はないから、本件において抗告人が六ケ月分以上の賃料の支払を怠つたということは、民事訴訟法第五一八条第二項の「他ノ条件」に該当せず、したがつて相手方においてそれを証明することを要しないと解するのが相当である。(当裁判所昭和三二年(ラ)第七〇一号、同年一二月二五日決定、高等裁判所民事判例集第十巻第十一号六四八頁以下参照)
(柳川 坂本 中村)