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東京高等裁判所 昭和35年(ラ)921号 決定 1961年2月14日

抗告人 土田弘五郎

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告人は「原決定を取り消し、さらに相当な裁判」を求める旨申立て、その抗告の理由は、本件異議の申立人である渡辺長吉は土木建築を業とする事業主であつて、相当の収入があるにもかかわらず、債務を弁済する誠意がない、それなのに、右申立人の主張のみを認容してなした原決定には不服であるというのである。

本件記録編綴の渡辺長吉の審尋調書(記録六丁)によれば、抗告人が桐生簡易裁判所昭和三十五年(ロ)第一一五号仮執行宣言付支払命令に基いて差押をした、本件異議申立人所有の物件中ミキサー二台及び北川式発動機一台は、同人及びその家族の労役によつて営んでいる土木建築事業のため欠くことのできない物件であることが認められるから、右は、民事訴訟法第五百七十条第三号に所定の差押禁止物件に該当するものと認むべきである。それ故に、右各物件についての強制執行の排除の申請を認容した原決定は正当であつて、本件抗告は理由がない。

よつて本件抗告を棄却することとし、抗告費用は抗告人の負担として主文のとおり決定する。

(裁判官 村松俊夫 伊藤顕信 杉山孝)

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