東京高等裁判所 昭和35年(行ナ)109号 判決
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〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 原告が、本件審決において看過したと主張する本願発明と引用方法との相違点「揮発性化合物、たとえば、珪素化合物を可燃性又は不燃性の担持ガスで担持稀釈させて焔に供給する」ことが、本願出願前公知の技術手段であることは、原告の認めて争わないところであり、これが第二引用例に開示されていることは、第二引用例である英国特許第四八六一五八号明細書の「これら有機珪素化合物の燃焼は、適当に調節して、形成された二酸化珪素の適当な分散が得られるように有利に調節することができ、必要に応じ、空気、酸素、珪素、二酸化炭素及び(又は)種々のガスの混合物を燃焼の速度及び性質を調節するために有機珪素化合物の蒸気と一緒にすることもできる」旨の記載に徴し明らかなところであるから(右の技術が各引用例に示されていないことを前提とする原告の主張は、全く理由がない。)、本件における事実上の唯一の争点は、本願発明の奏する作用効果が、引用方法のそれに比し、格別顕著なものといえるかどうかに帰することは、本件における当事者双方の主張に徴し、おのずから明らかなところであるところ、本願発明が原告主張の構成要件を当事者間に争いのない本願発明の要旨に掲げられた順序において結合したことにより、原告主張の作用効果(前掲「請求の原因」三の(四)参照)、とくに、①粒径の極めて小さい、②表面活性度の高い細分された酸化物を得ることができるものであることは、成立に争いのない甲第一号証(本願の願書に添付した明細書)、第九号証の一、二、第十号証及び同第十一号証の一から十により明らかであり、このような作用効果のすべてが引用方法によつてももたらされうるものであることについては、これを認めるに足る証拠はない。被告は、これらの作用効果なるものは、本願発明の構成要件である各公知の技術が当然に奏する通常の効果の域を出ない旨主張するが、これを肯認するに足る証拠は全く存しない。したがつて、叙上の作用効果は、本願発明がその構成要件である技術を結合したことにより生ずる特段の作用効果と認めるのを相当とし、このような顕著な作用効果を奏する本願発明をもつて引用方法から容易に推考できる程度のものであるとした本件審決は、この点に関する判断を誤つたものといわざるをえない。本件審決は、本願発明を構成する各技術が公知ないしは化学常識的なものであることから、それらの結合による作用効果を看過誤認して、前記のように即断したものというべく、違法たるを免れない。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由があるものということができる。
(三宅正雄 杉山克彦 武居二郎)