東京高等裁判所 昭和35年(行ナ)26号 判決
原告が昭和三二年七月三日登録を出願した本件の商標は、別紙記載のように、「DIAL」のローマ字を横書きにして構成され、旧第五類シヤンプーを指定商品とするものであるが、一方審決が登録拒絶の理由として引用した登録第四〇一、一六八号商標は、別紙記載のように「DIAL」のローマ文字および「ダイアル」の片仮名文字を上下二段にそれぞれ左横書きにして構成され、旧第五類歯磨および他類に属せざる洗料を指定商品とし、訴外花王石鹸株式会社のために登録されているものであることが認められる。
そこで、右両商標の類否について判断するに、本願商標および引用商標中の「DIAL」の四文字は、英単語として「ダイアル」と発音せられ、日時計、羅針盤・各種計器類等において指針の回転移動により目盛りを指示する表示盤、ラジオ・自動式電話の目盛盤・回転数字盤等の意味を有するものであるが、現今においてはすでに日本語化して、特にラジオや電話のダイアルといえば通常人が直ちにその意味を了解する程度に日常頻繁に使用される語であり、また一般に英語の普及している現今のわが国においては、ある程度英語の知識を有する者ならば容易に前記英単語の発音および意味を了解し得るものと考えられる。
それゆえ、両商標はともに「ダイアル」という称呼およびこれに相当する観念を生ずるものであり、すなわちその称呼および観念を同じくするものといわねばならない。
原告は、本願商標はその指定商品の取引者および需要者の間において「ジアール」と称呼されているとか、右指定商品の取引にあたつては原告の商号を附して「アーマーのジアール」として一般に呼びならわされているとか、そのようにして取引されるのは外国商品の取引に関する商慣習ないしは経験則上も当然である旨主張するけれども、右の点について原告はなんらの立証もしていないから、右のような事実や商慣習が存在することは肯認できず、また原告のいわゆる経験則もまたこれを是認することができないのである。
してみれば、本件商標と引用商標とは前記のようにその称呼、観念を同じくし、またその指定商品も互いに抵触すること明らかであるから、本件商標の登録出願は、旧商標法第二条第一項第九号により拒絶を免れないものといわねばならない。
なお、原告が引用商標につきその不使用を理由として登録取消の審判を請求し、同審判事件が特許庁に係属中であることは被告の認めているところであるが、いまだこれが取消の確定審決のなされた事実は原告の主張しないところであるばかりでなく、たとえ右請求を認容し引用商標の登録を取り消す旨の審決がなされて確定しても、これによる商標権失効の効果は将来に向かつて生ずるにすぎず、一方本訴における審理の対象たる本件審決における瑕疵の存否は同審決のなされた時を基準としてこれを判断すべきものであるから、現に前記登録取消審判請求事件が係属していることは、当裁判所の前記判断になんらの影響をも及ぼすものでないことは当然である。
〔編註〕 本件に関する商標は左のとおりである。
本件出願商標
<省略>
審決引用の登録
第401168号商標
<省略>