大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(う)2596号 判決

被告人 井上征司

〔抄 録〕

弁護人の論旨について。

記録によれば、被告人井上征司に対する逮捕状には、被疑者の特定について、「通称井野上某、五尺五、六寸位、慎太郎刈り、二十二、三才」との記載しかないことは所論の指摘するとおりであるが、被疑者の氏名が明らかでないときは、被疑者の人相、体格その他被疑者を特定するに足りる事項で被疑者を指定することができ、又被疑者の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しないものとされているところ(刑事訴訟法第二〇〇条第一項及び第二項、第六四条第二項及び第三項参照。)、被告人井上征司に対する逮捕状の右記載は同被告人に対する逮捕状記載の被疑事実と相まつて優に被疑者を特定するに足りるものと認められ、又原判決が原判示第四の(四)の事実の証拠にかかげている中山晴雄作成の昭和三五年一〇月二五日付の鑑定書の鑑定資料に供せられた麻薬一三包は、右逮捕状により被告人を搜索中、その居所が判明したので、その居所に赴いて被告人を質問した際、被告人が右麻薬を所持していたので、同被告人に対する逮捕状記載の被疑事実とは別個の麻薬取締法違反罪の現行犯人と認めて被告人を逮捕すると同時に、その現場において差し押えたことが明らかであつて、原判決の訴訟手続には所論のような違法はないから、論旨は理由がない。

(加納 河本 清水)

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