大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(う)828号 判決

被告人 福村徳三郎

〔抄 録〕

所論は、関税法第百十八条第二項は、犯人が複数である場合には、その全員が連帯して犯罪貨物の価格を追徴せられるべき旨を定めたものであるから、犯人が二人ある本件の場合においては、被告人及び原審相被告人韓元守において、連帯して原判示犯罪貨物の価格を追徴せらるべきにかかわらず、右両名に対し、各別にその価格を追徴した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適法の誤があるというのであるが、関税法第百十八条が犯罪にかかる貨物を没収し、又はこれを没収することができない場合にその没収することができないものの犯罪が行われたときの価格に相当する金額を犯人から追徴することを定めた所以のものは、国家が、関税法規に違反して輸入した貨物又はこれに代るべき価格が犯人の手に存することを禁止し、もつて、密輸入の取締を厳に励行せんとするに出たものと解すべく、犯人が複数ある場合においてこの趣旨を貫徹しようとするには、犯人全部に対し、各別に犯罪にかかる貨物の価格に相当する金額の全部を追徴することができるものと解すべきである。もつとも、この場合において、犯人各自に対し、それぞれその価格に相当する金額の全部を追徴する旨の言渡があつても、その内の一人に対し全部の執行が終了した場合においては、他の者に対する執行ができないことは、最高裁判所の判例(昭和三十年十二月八日最高裁判所第一小法廷決定、最高裁判所刑事判例集第九巻第十三号二六〇八頁参照)の趣旨に照らして明らかである。それ故、原判決が、被告人及び原審相被告人韓元守の両名に対し、各別に金二十一万四千七百円を追徴する旨の言渡をしたことは、もとより相当であつて、原判決には、なんら所論の法令適用の誤はない。論旨は理由がない。

(下村 高野 松本)

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