東京高等裁判所 昭和36年(く)25号 決定 1961年4月24日
少年 N(昭二〇・二・四生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告理由の要旨は、保護者Y及び附添人川上義隆名義の抗告申立書に記載してあるとおりであるが、要するに、本件少年には従来非行歴なく、家庭も健全であり、保護者も本件審判当時は感情に激した余り、むしろ少年院に送致するのを希望するが如き言動に出たのであるが、今日では心境一転し、家庭に引取つて充分監督する旨決意しているから、原決定はその処分著しく不当と思料されるので、本件抗告に及ぶというのであるが、少年保護事件記録及び少年調査記録に徴すると、少年は原決定摘示の如く恐喝行為をなし又将来罪を犯す虞のあることを認めるに十分であり、又一方少年の家庭的環境、友人関係その素行、及び保護者の少年に対する指導監督能力等については、いずれも原決定の説明するとおりであることが認められるから、少年を一定期間収容施設に収容して、規律ある生活をなさしめるのが、最も少年のため必要であると認められるので、原決定が少年を中等少年院に送致する旨の決定をなしたのは時宜に適した適切な処置であるというべきである。その他記録に徴するも、原決定が所論の如く著しい不当な処分であるとは認められないから、結局本件抗告はその理由がないこととなるので、少年法第三十三条第一項により、これを棄却すべく、主文のとおり決定する。
(裁判長判事 三宅富士郎 判事 東亮明 判事 井波七三郎)