大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(ツ)85号 判決

原審の確定したところによれば、本件道路は国電蒲田駅西口へ通じる商店街と女塚大通りとを結ぶ約四米巾のコンクリート道路(私道)で、両側に商店が並んでおり、一般公衆の通行の用に供されている往来のはげしい通路であつて、上告人が店先の道路上に看板空びん空箱を置いてここを利用しているというのも、一般通行の妨害とならない程度のものであり、店先道路の清掃も社会人としてなすべき務め以上のものではないと解され、上告人が店舖敷地の一部として係争地を占有している事実を認めるに足りる証拠はないと謂うのであつて、かような事実関係にあつては、上告人の単独占有は勿論、道路に対するマーケツト出店者全員の共同占有を肯定するにも足りないと謂うべきであり、この場合道路がマーケツトの各店舖にとつて不可欠のものであり、第三者が物を置き建物を建築する等の為妄りにここを使用することを許されなかつたというような状態にあつたとしても同様である。

所論は本件道路がマーケツトの敷地の一部であり、上告人らマーケツト出店者が特設した私道であること、凡そ商業マーケツトの私道なるものはその営業上の必要からマーケツトの構成員及び一般客の通行の用に供するために設定されるものであるから、それはマーケツト構成員の共同の管理に属するもの即ち共同の占有に属するものと解すべきであることを力説する。然し営業上の必要から設けられたマーケツトの私道であつても、すべて当然にマーケツト構成員の共同占有に属するものとは断じがたく、要はその私道に対する管理方法如何によるものであつて、常時何らの制限もなく一般公衆の通行の用に供されている道路(私道)は、他に特段の事情がない限り何人(道路管理者を除く)の占有にも属しないものと判断するのが相当である。本件私道がマーケツトの敷地の一部で、マーケツト出店者全員が特設した私道であるという事実は上告人が原審において主張しなかつた事実であるし、マーケツト出店者全員の共同占有に属すると認められるような管理の事実も又主張されなかつたのであり、又これにそう証拠も提出されていないのである。かかる場合原審がこの点に立入つて審理判断しなかつたからと言つて、審理不尽理由不備ということは当らない。要するに原審が上告人において主張立証した具体的事実の範囲内で確定した事実関係の下では、上告人主張の共同占有を肯定することは困難といわねばならない。

(梶村 室伏 安岡)

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