東京高等裁判所 昭和36年(ネ)1114号 判決
一、被控訴人らは控訴人が当審でした請求原因の変更につき、右申立は時機に遅れたもので訴訟遅延を来すから訴訟の却下を求める旨申し立てたので、控訴人の訴の変更を許すべきかどうかにつき考えるに、控訴人は原審においては、本件物件は桜井商店が入質していたところ被控訴人山和株式会社を除くその他の被控訴人らの代表者及び被控訴人山和株式会社の代理人が桜井商店代表者桜井秀雄をして右入質物件を請け戻させた上その交付を受けて爾後被控訴人らは桜井商店に対抗し得べき正権原なくしてこれを占有している旨主張し、桜井商店の所有権に基づき本件物件の返還及び引渡不能の場合における物件時価相当額の損害金の支払を求めたが、当審において、右桜井秀雄が被控訴人らの要請を承諾し本件物件を被控訴人らに交付して寄託したものであると主張し、請求原因を寄託に改めたが、従来の請求も変更後の請求も、右桜井秀雄が入質中の本件物件を請け戻した上被控訴人らにこれを交付したことを基本とするものであつて、かつ控訴人が追及する経済的利益は同一であるから、請求の基礎に変更あるものではない。
二、控訴人の右訴の変更は交換的変更の趣旨と解されるが、この場合旧請求の撤回については訴の取下と同視すべきであるから、被控訴人らの同意を要すべきところ、被控訴人らの前記申立は不同意の表明と認められるから、旧請求の撤回は許すことができない。
(関根 福島 荒木)