東京高等裁判所 昭和36年(行ナ)66号・昭36年(行ナ)67号・昭36年(行ナ)68号 判決
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〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 本件における事実上の唯一の争点が、本願各考案において、ポリエステル樹脂に砂を混入したものを接着剤として使用することにより、本件各審決が認定説示した以外に特段の効果が存在するかどうか(したがつて、本件審決がこれを看過誤認したかどうか)にあることは、本件における当事者双方の主張、とくに原告の主張に徴し明らかである。
この点に関し原告は、本願の各考案における特段の効果として、砂を接着剤に混入することにより、いわゆるチキントロビー効果及びコンクリート部材の接着層に対する剛性附与の効果を主張するが、本願の各考案においてコンクリート部材の接着剤としてポリエステル樹脂中に砂を混入したものを用いることによるいわゆるチキソトロビー効果については、本願の各説明書又は訂正書中に全く記載を欠き、しかも、チキソトロビー効果なるものは、ポリエステル樹脂中にその三倍量の砂を混入したとき初めて期待しうるものであることは、鑑定人の鑑定の結果に徴し明らかであるから(これを左右するに足る証拠はない。)、砂の混入量の割合につき何らの限定のない本願各考案において、この効果をもつて本願各考案のもたらす当然の効果ということはできない。また、接着剤に砂を混入することにより、接着層の剛性が増大するとの点については、砂の混入によりある程度(その限度は、混入比率により異なる)増大するであろうことは推認するに難くないところであり、しかも、本願各考案において、その砂の混入比率について格別の限定もない点に徴すれば、砂の混入によりある程度剛性が増大したとしても、このようなことは、当業者の極めて容易に予測しうるところとみるを相当とし、これをもつて、本願各考案のもたらす特段の効果というに値しない。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、本件各審決には、その主張の点に判断を誤つた違法があるとして、その取消を求める原告の本訴各請求は、いずれも理由がないものというほかはない。よつて、いずれもこれを棄却する。
(三宅正雄 中川哲男 武居二郎)