大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(う)1139号 判決

被告人 今村春江

〔抄 録〕

所論は被告人の司法警察員に対する昭和三六年五月一六日付供述調書はその一三項以下の部分が契印が欠けており原判決が証拠の標目にかかげた被告人の検察官に対する昭和三六年五月二三日付供述調書は前記司法警察員に対する供述調書が引用されているから、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があると主張する。よつて記録を調査すると所論司法警察員に対する供述調書の一部に作成者の契印が欠けていることは明らかであるから、右調書は刑事訴訟規則第五十八条第二項に違反したものと云うべきであるが、右規定はひつきよう右書類が当該公務員により真正に作成されたことを担保するためのものであるから、右契印を欠く一事を以つて直ちに右書類が全部無効であると解すべきではなくその形式内容が整然とし書類全体を通じて脈絡、一体性があり当該公務員が真正に作成したものと認められる場合は必ずしもこれを無効とすべきではない。しかして右調書を検討すると、右調書は全体を通じて同一人の筆跡であり、且つその文旨脈絡も一貫しており末尾に右のとおり録取し読み聞かせたところ誤りないことを申し立て署名指印した旨の記載があつて、供述者たる被告人の署名指印がされていることが認められるから、右調書は作成者たる司法警察員警部補山口敦により真正に作成されたものと認めるのが相当である。よつて右調書が無効であることを前提とする所論は採用するを得ない。

(藤島 山本 荒川)

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