東京高等裁判所 昭和37年(ツ)188号 判決
所論は被上告人国産工業において右代物弁済予約上の権利の譲受につき登記による対抗要件を備えても債権の譲受につき民法第四百六十七条に定める対抗要件を具備しない以上、右被上告人は前記代物弁済による所有権取得の効果を主張し得ない旨主張し、原審が右債権譲渡の対抗要件の有無につき判断することなく、被上告人国産工業の前記請求を認容したのは、法令の解釈を誤まつたかもしくは審理不尽、理由不備の違法があるというのである。
しかしながら、民法第四百六十七条にいわゆる第三者とは、債権の二重の譲受人あるいはその債権を差押えた者などのように、当該債権の帰属につき譲受人と両立しない地位を取得した者を意味し、債権の譲渡によつて間接に影響を受けるに過ぎない者はこれに含まれないと解されるところ、上告人は所論の債権の譲受人たる被上告人国産工業が代物弁済により所有権を取得した本件第一の建物の一部をその元所有者斎藤ウメから賃借しこれを占有すると主張するものに過ぎないから、本件の債権譲渡につき民法第四百六十七条にいわゆる第三者にあたらないと解すべきことは右に述べたところから明らかである。従つて上告人は本件において所論の債権譲渡の対抗要件の欠缺を主張し得ないというべきである。
(梶村 室伏 安岡)