大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ツ)96号 判決

原判決の確定したところによれば、被上告人は本件建物賃貸借契約の解除の前提として、約定の一ケ月金一万二千円の割合により五ケ月分の延滞賃料として金六万円の支払を催告したのであるが、右は統制賃料額を超えるもので適正賃料額の約五倍(但し、原判示の統制額によれば四、六倍であるが、上告理由第三点において主張するとおりの基礎に基いて統制賃料額を算出)にあたることが認められる。

しかし、右の程度の過大催告であつても、賃借人が適正賃料額を提供しても賃貸人においてこれを受領しない意思を有したと認むべき特段の事情の認められない限り、適正賃料額の範囲内で催告の効力を認むべきものと解されるところ、記録に徴するに右特段の事情については主張もなく、またこれを認めるに十分な立証もないことが知られる。所論の催告額及び催告期間が五日間であることもしくは本件に顕われた当事者間の従前の経緯からは到底前記特段の事情を肯定することはできないのである。また被上告人提出にかかる昭和三十六年四月二十七日付準備書面第四項に催告にかかる延滞分以前の昭和三十五年八月分及び九月分の賃料を受取つた旨の記載があるのに、原審が「控訴人が賃料の提供を全くしたことがないことは弁論の全趣旨に照らして明らかである」と判示していることは所論のとおりであるが、催告にかかる延滞分以前の賃料の支払がなされているかどうかということは、もとより上記特段の事情存否の判断を左右するに足るものではないから、右二ケ月分の賃料の支払の点に原審の誤解があつたとしても結論に影響するところはないというべきである。

よつて原審が右催告及びこれを前提とする解除の効力を肯定したのは正当であつて、論旨は理由がない

(梶村 中西 安岡)

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