東京高等裁判所 昭和37年(ネ)538号 判決 1963年3月14日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決中控訴人に関する部分を取消す。千葉県農地委員会が原判決添付第一物件目録記載の土地につき昭和二十二年十二月二日なした訴願棄却の裁決はこれを取消す。千葉県東葛飾郡行徳町農地委員会が右土地につき昭和二十二年六月十四日樹立した買収計画はこれを取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は、控訴代理人において新たな証拠として甲第四十二号証乃至第四十五号証を提出し、被控訴代理人において甲第四十二号乃至第四十四号証の成立を認める、甲第四十五号証は不知と答えたほかは、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。
理由
当裁判所も原審と同様に控訴人の請求は失当と認めるものであつて、その理由は左記理由を附加するほかは原判決の説示するところと同一であるからこれをここに引用する。但し原判決の二十六枚目表八行目『二の(2)に記載の各事実……』とあるのを『二の(3)に記載の各事実……』と訂正する。
当審において新たに提出された甲第四十五号証中「控訴人が終戦前より昭和二十二年三月頃まで真上方六畳間に寝泊りして自炊していた」旨の記載や甲第四十四号証中「控訴人が昭和二十二年三月迄真上方に、その後同年八月頃まで山辺ふじ方に起居し、ここに居住していた」等の記載は原審証人鈴木秀次、同松尾英雄の各証言と対比したやすく措信できず、その他の証拠を斟酌しても、控訴人主張の「本件買収計画樹立当時控訴人が行徳町に住所を有していた」事実を肯認するに足りない。よつて、右の主張事実を前提として、本件買収計画及び訴願棄却の裁決を違法とし、その取消を求める控訴人の本訴請求は失当であつて、これを棄却した原判決は相当で本件控訴は理由がない。
よつて民事訴訟法第三八四条第九五条第八九条の各規定に則り主文の通り判決した。
(昭和三八年三月一四日 東京高等裁判所第一〇民事部)