大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)617号 判決

被控訴人が本件土地を所有し、控訴人が別紙第二目録記載の建物を所有して本件土地のうち別紙第一目録記載の部分を占有していることは、当事者間に争いがない。

次に控訴人は罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基づく賃借権の設定を主張するのでこれにつき判断する。

もと訴外小島幾四郎が本件土地の一部を被控訴人先代から賃借してその地上に家屋を所有し、そのうち一戸を海東佐二郎に賃貸していたが、昭和二〇年五月二五日右家屋が戦災で焼失したこと、佐二郎または控訴人(そのいずれであるかは暫く措き)が昭和二三年五月一七日中野簡易裁判所に被控訴人を相手方とする調停を申立て、同年六月中の調停期日に被控訴人に対して右罹災家屋敷地につき賃借の申出をしたが被控訴人がこれを拒絶したことは当事者間に争いがない。

〔証拠〕によれば、佐二郎の賃借していた罹災建物の敷地は別紙第一目録記載の土地の一部にあたることが認められる。してみれば、佐二郎は、昭和二三年六月当時において、罹災建物の敷地につき、前記法条に基づく賃借の申出をする権利を有していたものということができ、

〔証拠〕によれば、前記改築後の建物は、建築資金借受の便宜上佐二郎の長男である控訴人の所有名義とされたため、前記調停申立も控訴人名義を用いてなされたが、実際に申立の衝に当つたのは佐二郎であり、調停期日にももつぱら佐二郎が出頭して前記賃借の申出をしたものであることが認められるので、右は優先賃借権者である佐二郎自身の申出としてその効力を生ずるものというべきである。

なお、被控訴人は、右賃借申出が罹災建物敷地をはるかにこえる土地につきなされたため、これを拒絶したものであると主張するところ、罹災建物の敷地部分は次に認定するとおりであり、前掲乙第四号証によれば佐二郎は右調停においてその二倍以上の四〇坪の土地に対する賃借権を主張していたことが認められるけれども、この一事をもつて直ちに、土地所有者において超過部分にとどまらず罹災建物の敷地部分を含めた全部の土地につき賃借の申出を拒絶する正当事由があるものと解することはできないから、右申出後三週間を経過したときに被控訴人においてこれを承諾したものとみなされ、佐二郎は罹災建物の敷地部分につき存続期間一〇年の賃借権を取得したものということができる。

(岸上 小野沢 野田)

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