東京高等裁判所 昭和37年(ラ)556号 決定
よつて案ずるに、本件競売手続は抵当権実行に因るもので民事調停規則第六条一項但書に当る場合でないことが明らかであるところ本件記録に編綴されている不動産競売手続停止決定正本によれば抗告人等主張の如く本件不動産競売事件(昭和三六年(ケ)第九五九号)の競売手続の停止決定があつた事実を認めることができる。しかして豊島簡易裁判所の右停止決定のあつたのは本件競落許可決定(昭和三七年一〇月二日)の為された後であり而も右停止決定正本は抗告審たる当裁判所に抗告申立後に提出されたものであり、競売裁判所たる原審に提出された形跡はない。然し競落許可決定に対する即時抗告について、抗告審は抗告の裁判を為すまでに生じた事実竝に証拠を斟酌し得るのみならず之を斟酌すべき主義を採りまた即時抗告に服する裁判の場合も再度の考案を許し抗告審より原裁判所に事件を送付する主義を採る我が法制の下に於いては、抗告審に対し抗告申立後に前示停止決定正本が提出された場合は、これを原審に対し抗告状の提出と同時に右停止決定正本を提出した場合と同視するを相当とする。
(鈴木忠 谷口 加藤)