大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ラ)88号 決定

本件記録によると原決定は抗告人の申請に基いて東京地方裁判所が同庁昭和三七年(ヨ)第二三二号事件についてなした仮処分決定に対し相手方が異議申立をすると共にその執行の取消を申立てたので原裁判所はその申立を理由ありと認めて民事訴訟法第五一二条第一号を準用し仮処分異議事件の裁判があるまで前記仮処分決定の執行の取消を命じたものであることが明らかである。そして前示法条の裁判が申立の実質について審査をしてなされた場合はこれに対し不服申立ができないことは同条第二項第五〇〇条第三項の規定するところである。

抗告人は仮処分決定に対する異議申立には原則として前示第五一二条第五〇〇条の規定は準用がなく、ただ仮処分決定の内容が権利保全の範囲にとどまらずその終局的満足を得せしめ、その執行により相手方に対しその回復することのできない損害を生ぜしめる虞のあるような場合にのみ例外的に右法条を準用してその執行を一時停止することができるにすぎないのである。ところが本件仮処分決定の内容は本件建物に対する相手方等の占有を解いて執行吏の保管に移し、ただ現状を変更しないことを条件として相手方等にその占有部分の使用を許すというにすぎないのであるから前記例外の場合に該当しないのである。従つて本件仮処分決定の執行取消は本来許されないものであるにも拘らずこれを許容した原決定は違法であるから同法第五五八条により本不服申立をすると主張する。

しかしながら原裁判所が相手方の本件仮処分決定執行取消の申立について実質上の審査をしてその理由があると認めてこれを許容したことは前叙の通りであつて、前掲法条によるとこの裁判に対し不服申立が許されないのであるがこれは右裁判が仮処分異議の訴訟に附随してその判決がなされるまでの間一時的応急的になされる性質のものであるからその判断はこの審級限りとして、これに対し独立した不服申立を許さないというのが右法条の趣旨であるからである、従つて原決定に対しては即時抗告の申立をすることは許されないものというべきである。

(鈴木禎 川添 花淵)

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