大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(う)454号 判決

被告人 笹子謹治

〔抄 録〕

本件鉱業権譲渡証は、被告人及び小川利重両名の共有名義の試掘権(千葉県安房郡和田町地内所在、登録番号千葉試掘権登録第一一四七号)を両人より東海鉱業株式会社及び被告人に譲渡し、同人らを共有権者とするという内容を有しているのであるから、たとえ鉱業権というものは有効な登録を経ないうちは対世的な権利とはならないものであつても、右文書は法にいわゆる権利義務に関する文書であるというべきであり、右東海鉱業は権利義務に関する文書の権利者であるということを妨げないことは明らかであつて、被告人においてこの文書がたまたま自分の手中にあるのを幸い、譲渡人である自分名下の印影を擅に墨で塗抹したものである以上、刑法第二百五十九条所定の犯罪は直ちに成立するというべく、これに対し権利者である東海鉱業から同法第二百六十四条に基づく適法な告訴があり且つ適法な公訴の提起があつた本件においては、その後事情の変更があつたとしても、それが犯情に影響しひいて刑の量定を左右するに至ることがあるのは格別、犯罪の成否が再び問題となるようなことはあり得ないといわなければならない。

(三宅 井波 谷口正)

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