東京高等裁判所 昭和38年(ネ)3144号 判決
成立に争のない甲第四号証によると、県知事の許可は、売買契約の内容の記載としては所有権の移転の時期を昭和三七年三月三〇日(契約の日時は記載されていない)対価三万円と記載された昭和三六年一二月一九日づけ申請書にもとずいてなされたものであることが認められ、当審における証人太田弥七の証言によると、右所有権移転の時期は、当時許可申請をしてから許可があるまで大体三ケ月位を要するので、約三ケ月後の昭和三七年三月三〇日と、対価三万円は、当時の法務局における本件土地についての基準評価々格を(実際の売買価格を表示するとそれにもとずいて課税されることを免れるため)、それぞれ記載したもので、控訴人も、前記の売買にもとずいて許可申請手続をなすものであることを了承して、右申請書に署名捺印したものであることが認められ、右認定に反する前掲控訴人の本人尋問の結果は信用できない。
したがつて、申請書に記載された売買契約の内容は真実に合致しないものであるが、県知事は許可申請に記載の事実が、真実合致するか否かを調査するのみならず、必要と認める事項は自らすすんで調査し許可することが、法令に規定する許可の基準に反することがないか否かを判断して、公益の立場に立つて、許否の決定をする権限と、職責を有するものであるから真実に合致しない記載をなした申請書にもとずいた許可処分であつても許可の効力には影響はないと解するのを相当とする。
(長谷部 浅賀 小堀)