東京高等裁判所 昭和38年(ネ)318号 判決
さきに引用の原判決認定の通り、被控訴人は鶴田幸三、飯田繁蔵の両名から、同人らが山梨県信用保証協会より五〇万円程の融資を受けるための便宜上本件建物の登記簿上の所有名義を一時貸与してほしいとの申出を受けたので、その所有名義を果して何人にするかについては深くせんさくしないまゝその申出を承諾した結果、甲ブロツクの代表取締役であつた鶴田幸三において本件建物につきみぎ甲ブロツク名義の所有権保存登記をしたのであつて、このような事実関係の下においては、未だ被控訴人と甲ブロツクとの間に所有権移転の通謀虚偽表示があつたものということはできない。しかしながらみぎの事実関係からすれば、被控訴人は登記簿上の所有名義人を何人にするかについてはこれを鶴田らに一任していたものと解せられるから前記甲ブロツク名義の所有権保存登記は被控訴人の承諾に基くものというに妨げなく、かかる場合には当事者間に所有権移転の通謀虚偽表示があつた場合に準じ、民法第九四条第二項を類推して甲ブロツクとの間に取引関係にたつた善意の第三者に対しては被控訴人は甲ブロツクの無権利を以て対抗できないと解するのが相当である。
(岸上 室伏 斉藤)