東京高等裁判所 昭和38年(ラ)455号 決定
申立人は原裁判所より非訟事件手続法第二百八条ノ二の規定による過料の略式裁判を受け、その告知を受けた日より一週間内に当裁判所に「即時抗告の申立」と題する書面を提出したが、右規定による略式裁判は、同法第二百七条所定の過料の裁判が事前に必ず当事者の陳述を聴くことを要し、不服申立の方法として即時抗告を許すことを明記されているのと異り、当事者の陳述を聴かないでなす反面、これに対する不服申立方法として同法第二百八条ノ二第二項により異議の申立をなすことを許し、その異議には理由を具備することを要件とせず、裁判の当否いかんを問わず右異議の申立があつたという一事だけで当該裁判は当然失効するものと規定されている。かような規定の差異に着眼して考えるときは、同法第二百七条第三項に規定する即時抗告は、同条第一項を受けて同項の過料の裁判につき定められたものであつて同法第二百八条ノ二の過料の裁判には適用なく、このような略式の裁判に対しては、一旦異議の申立により該裁判を失効せしめて改めて当事者の陳述を聴いた上第一審の過料の裁判をなし、その裁判に対しはじめて即時抗告を許す法意と解するのが相当である。従つて原決定に対しては即時抗告を許さないのであるが、申立人提出の前記書面の記載内容は原決定に対し異議の申立をなす趣旨と解するのが相当であり、それは一週間の不変期間も遵守されているところ、右異議の申立は当該裁判をなした裁判所に提起すべく、上級裁判所たる当裁判所の管轄には属しない。よつて主文のとおり本件を原裁判所たる東京地方裁判所に移送するものとする。
(小沢 仁分 渡辺惺)