東京高等裁判所 昭和38年(ラ)613号 決定
本件記録編綴の成立に争のない甲第一号証通帳(記録第六十九丁、)原審の口頭弁論での証人岩野英一の証言及び抗告人本人尋問の結果によれば、下記の事実が認められる。すなわち、抗告人は昭和三十二年二月八日相手方から金二十万円を、弁済期昭和三十二年五月十五日、利息一ケ月一割の約定で借り受け、原決定末尾添付目録記載の不動産に対し、抵当権を設定した(利息の点を除くほかは当事者間に争がない)。抗告人は、同年二月分から七月分までの約定利息金十二万円の支払をしなかつたので、同年七月十五日相手方との間に元金二十万円に、右約定利息及び違約金として金二万五千円を加算した合計金三十四万五千円を目的として、準消費貸借契約を締結した。上記の認定に反する原審口頭弁論での相手方本人の供述は信用することができず、乙第一号証(金員借用証書)中利息年一割五分とある記載は、前掲各証拠に照らして採用し難い。
利息制限法所定の制限範囲を超える利息を組入れた金額を元本として締結した準消費貸借契約は、右制限の範囲を超える金額の限度においては無効であると解するを相当とし、上記一ケ月一割とする約定利息が同法所定の制限の範囲を超えるものであることは明かである。従つて、上記抗告人と相手方の準消費貸借契約は、違約金を加算した点はこれを措くとしても、尠くとも、元金二十万円に対する同法所定年一割八分の割合による同年二月から七月まで六ケ月分の利息計金一万八千円を超える金十万二千円を加算した分は無効であり、金二十四万三千円の限度においてのみ効力を有するものというべきである。
(村松 杉山 山本)