大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和39年(う)1102号 判決

被告人 佐藤政雄

〔抄 録〕

前記一月十八日附起訴状記載の公訴事実中第三の二の点についての二、長岡司法巡査の作成した実況見分調書謄本並びに同第二、第三の各点及び前記一月二十七日附起訴状記載の公訴事実についての二、飛弾野幸夫の司法警察員に対する供述調書謄本とあるのは、記録中それらに該当すると思われる書面を検索してみると、前者は、長岡司法巡査の作成した実況見分調書を複製した書面、後者は、飛弾野幸夫の司法警察員に対する供述調書を複写した書面をそれぞれ指称するものと認められるところ、右各書面を査閲するに、いずれもその末尾において「右は謄本である」旨の認証文言及び認証すべき者の署名押印を存せず、実況見分調書若しくは供述調書の各謄本としての認証を全然欠き、いわゆる謄本としての形式を具備しない書面であることが明白であるから、かくの如き書面はこれを実況見分調書謄本若しくは供述調書謄本というを得ないことは勿論であるが、右各書面はいずれも原審検察官が当初よりその各原本に代え謄本としてその証拠調を請求し、被告人及び弁護人がこれを証拠とすることに同意し且つ証拠調をすることに異議がなく、その趣意で証拠調がなされたことを窺い得べく、実質的には、当該の各原本の内容を全部に亘つて正写したもので、その内容は原本と同一であると認めるに難くなく、原本と同様証拠とすることができるものである。されば、本来は実況見分調書の写若しくは述供調書の写と表示して証拠に引用挙示すべきであつて、原判決がこれをその各謄本と表示して証拠に引用挙示したことは結局誤記であることに帰し、右の如く表示を訂正すべきものである。

(坂間 栗田 有路)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!