大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(う)1518号 判決

判決理由〔抄録〕

そこで記録を精査して按ずるに、原判決挙示の各証拠を綜合すれば、被告人の車が本件交差点において左折する際、第一種原動機付自転車を運転して直進しようとしていた被害者の右肘が被告人の車の左側方後部と接触し、そのため被害者がその附近に転倒し負傷したことは優にこれを認定し得るところであって、ただ被害者の原審公判廷における証言には当初の停車地点とその後の経過との関係において不合理な点が散見され、被害者が交差点の信号に気をとられ先行車であった被告人の車の左折合図を見落していたのではないかと疑う余地更には被害者が信号が赤から緑に変る頃交差点に差しかかりそのまま停車することなく交差点に進入し、左折を始めた被告人の車と接触したのではないかと推認する余地は十分あり、この点において被害者の過失を相当考慮しなければならぬけれども、さればと云って被告人も本件交差点において左折するにあたり左折車としての左寄義務を十分に尽くしていたとは認められず、左側方に他の車(特に単車)が進出してくる可能性が十分あったのに拘わらず、左側及び後方に対する警戒が不十分であったことは否定できないところであるから被告人に過失がなかったとの主張は失当であって、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認はないから論旨は理由がない。

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