東京高等裁判所 昭和39年(ツ)196号 判決
第一の建物は大正初期頃の、同第二の建物は大正末期頃の、建築に係るもので、建物全体が傾斜し、各所に不同沈下を起しており、土台、基礎石はほとんど地下に埋没し、土台床下などは腐朽し、垂木、柱、桁、壁、天井、屋根なども腐朽の箇所が多く、現状のままでは地震暴風に遭遇しないとしても、僅かに七、八年の使用に耐え得るにすぎず、浸水を防止するための基礎地業施行の上、腐朽箇所を修理するには、坪当り金二五、〇〇〇円の費用が必要であるが、かかる莫大な費用を投じて修理を施しても、なおかつ本件建物の耐用年数をさほど延ばし得る見込みはなく、そのような修理はもとはや得策ではない状態にある、というのであるから、被上告人において本件建物を取毀ち、別の建物を新築する必要が現に存するものといはなければならない。そして本件建物が既に前記のような状況にある以上、上告人ら側の原判決判示のような事情を考慮しても、被上告人がした本件建物賃貸借の解約申入は正当の事由ある場合に該当するものとなすのが相当である
(村松 江尻 兼築)