大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ツ)73号 判決

しかし、借地法第二条第一項但書にいわゆる「建物の朽廃したるとき」とは地上建物が既に建物としての効用を全うすることができない程度に腐朽頽廃し、その効用を失うべかりし場合をいうものである。(大審院昭和九年一〇月一五判決民集第一三巻一九〇一頁)、そして右のごとき状態に達したか、もしくは達すべかりし場合であるか、否かは建物を全体的に観察すべく、腐朽頽廃という文字の示すとおり、かかる状態には自然的に達したことが必要であつて、火災、風水害により一挙に建物としての効用を失うに至つたり、取壊しのように人為的に建物の効用を失わしめられた場合は「朽廃」に当らないと解すべきである。

しかして「自然的に」というのは、その間に人為的な破壊が建物に部分的に加えられた場合でも、その後当然なさるべき補修がなされず、自然力の作用するがまゝに委せられた場合をも含むものと解するのが相当であり、又一旦建物が全体的に観察して、建物としての効用を失うに至つた以上、それが通常の修繕を怠つた結果であつて、もし通常の修繕を加えていたならば、建物としての効用を保持し得たと考えられる場合でも、又今後大修繕を加えれば建物の同一性を保持しながら、建物としての効用を回復しうる場合であつても、なお「朽廃」した場合に該当するものというべきである。けだし、通常の修繕すら怠つた結果、自然的に建物としての効力を失わしめる程度に建物を腐朽頽廃するに至らしめたような借地人の権利をそれ以上保護する必要はないからである。ところで、原判決挙示の証拠によれば、本件係争地上の建物が昭和三八年七月一六日当時原判決三枚目裏七行目から四枚目裏九行目までに認定のような状態にあつたこと、右のような状態に至つた事情が原判決認定のとおりであることを認定できるのであつて、右事実によれば、右建物が昭和三八年七月一六日までに前説明のとおりの意味における借地法第二条第一項但書所定の朽廃の状態に到達したものというべきであつて、これと同趣旨に帰する原判決の判断は正当である。

(牛山 岡松 今村)

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