大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ネ)1709号 判決

控訴人は右事実に基づき、本件建物の競売は要素の錯誤により無効であるとして、被控訴人両名に対し不当利得の返還を求める旨を主張する。然しながら、建物の任意競売においては、建物が地上に存在する現状においてこれを競売に付するのであつて、その敷地の賃借権が存在する場合にも、これを建物と併せて競売の目的物件とするものでないことはもちろん、その存在を特に表示し又はその存続し得ることを前提として建物を競売に付するものでもない。このことは、建物の競売にはその敷地の賃借権を公告していないことからも推認できる。競落人が競落に際し、建物の任意競売において、敷地に賃借権が存在し、将来も存し得るものであることを予想することは、建物の競売そのものからみれば、特段の事情のない限りたんなる事情に止まつて、当然には、売買契約の要素となるものとは解し難いところである。控訴人がこのような特段の事情が存することについてなんらの主張、立証をしない以上、前記競売が要素の錯誤によつて無効であることを前提とする控訴人の第一次的請求は、進んでその余の点の判断をなすまでもなく失当といわなければならない。

次に、控訴人は予備的請求として、前記競売は目的たる権利の一部が存しない場合に該当することを前提に代金減額の請求をするところ、借地上の建物が競売せられる場合であつても、右敷地の賃借権は競売の目的物件とされるものではないことは前記判示のとおりであるから、右賃借権が存在しなかつたとしても民法第五六八条第五六三条にいわゆる「売買の目的たる権利の一部」が存在しないものということができないことはもちろんであるから、控訴人の右請求も、他の争点の判断をなすまでもなく理由がないものというべきである。

(村松 江尻 杉山)

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