大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和39年(ネ)1723号・昭40年(ネ)2435号 判決

被控訴人は、本件の両事件が二重起訴にあたる旨主張する。記録によれば、第一七二三号事件の訴が昭和三六年一一月一四日に、第二四三五事件の訴が昭和四〇年六月三〇日にそれぞれ原裁判所に提起されたことが明らかであり、右前訴において被控訴人は本件不動産(第一七二三号事件の原判決別紙(一)記載の土地、建物)の所有権に基づき、控訴人のためになされた所有権移転登記の抹消登記手続を求め、後訴において控訴人は右登記に即して実体的に被控訴人から本件不動産の所有権を取得したと主張し、右所有権の確認を求めるのであつて、両事件においていずれも控訴人との間における本件不動産所有権の帰属が争点とされているのであるが、所有権に基づく登記請求訴訟においては、所有権そのものが訴訟物とされるのではなく、訴訟物をなす登記請求権の存否の判断にあたり、その前提問題として判決理由中で所有権の帰属が判断されるにとどまる(最高裁判所昭和二八年(オ)第四五七号、昭和三〇年一二年一日判決参照)のであるから、別訴をもつて所有権そのものを訴訟物としその確認を求めても、両訴は訴訟物を異にし二重起訴とはいえないものである。

(岸上 小野沢 野田)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!