東京高等裁判所 昭和39年(ネ)2359号 判決
そこで、控訴人が前示の地上権をもつて被控訴人等に対抗することができるかどうかの点について判断する。被控訴人等が本件土地につき各共有持分取得の登記をした当時に、控訴人が本件土地上に前掲二棟の建物を所有しており、それらの建物について所有権保存登記を経ていたこと、ただし、その建物登記においては建物の所在としていずれも単に東京都墨田区隅田町一丁目一、二二六番地と記載されただけで、その敷地である本件土地の地番(一、二二六番五)が正確に表示されていなかつたことは、前示のとおりである。しかしながら、被控訴人渡辺との間において成立に争いなく、弁論の全趣旨により被控訴人福入商事との間においても真正に成立したものと認める甲第七号証によれば、右一、二二六番地なる地番は現存しないことがみとめられるばかりでなく、右地番の表示の誤りは、いわゆる枝番を脱漏したものにすぎず、しかも、右登記における建物の種類、構造及び床面積の記載は、反対の証拠がない本件においては、本件土地上に存する控訴人所有の前掲二棟の建物の実際の種類、構造及び床面積と一致するものと認められるので、前記のごとく土地の地番の表示が実際と僅かながら相違しているとは言え、右建物の登記の表示全体としては、右二棟の建物との同一性を認識するに充分であるということができる。被控訴人等が本件土地の共有持分取得の登記をした後の昭和三九年六月一七日に前記建物登記における建物所在地番の表示が錯誤としていずれも一、二二六番地五と更正されたこと(この事実は、前示甲第二ないし五号証によつてこれを認めることができる。)は以上に判示したところを裏付けるものである。したがつて、控訴人は、「建物保護ニ関スル法律」一条一項にいう「登記シタル建物ヲ有スル」ものというべく(最高裁昭和三六年(オ)第一一〇四号、昭和四〇年三月一七日大法廷判決参照)、控訴人は前示の地上権をもつて被控訴人等に対抗することができるものといわなければならない。
(三渕 伊藤 村岡)