大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ネ)3110号・昭39年(ネ)3123号・昭39年(ネ)3001号 判決

控訴人袴田らが昭和三七年一〇月二三日抵当権実行による競売によつて本件建物の所有権を取得したことは当事者間に争いがない。ところで、前示丙第七号証および成立に争いのない丙第八号証によると、本件土地および本件建物はもといずれも控訴人臼井寿七の所有に属しており、同控訴人が訴外市川八郎のため本件建物につき根抵当権を設定しその登記を経由した昭和三〇年一〇月二六日には右と同様な所有関係にあつたことが認められるから、本件建物の所有権を競落によつて取得した控訴人袴田らは、本件土地につき民法三八八条の規定により法定地上権を取得したものということができる。

しかしながら、地方、前示丙第七号証によれば、右の根抵当権設定登記を経由した時にはすでに本件土地につき被控訴人東宝商事のため昭和二九年七月二二日受付による前記代物弁済を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされており、ついで昭和三二年八月三一日受付により代物弁済を原因として右仮登記にもとづく本登記がなされたことが認められる。ところで、仮登記がなされた場合にあつては、本登記の順位は仮登記の順位によるものとされ、いわゆる順位保全の効力が認められ、右仮登記後本登記までの間にその本登記に抵触する処分によつて権利を取得した者は、右権利をもつて右本登記の権利者に対抗し得ないことになるのであるから、控訴人袴田らは前記法定地上権を被控訴人東宝商事に対抗することができないわけである。そして、被控訴人東宝商事から更に被控訴人市川工業所がその主張の原因により本件土地の所有権を取得したことは右丙第七号証によつて認められ、その所有権取得登記の経由されていることは控訴人袴田の認めるところである。したがつて、控訴人袴田は被控訴人市川工業所に対してもまた前記法定地上権の取得を対抗し得ないものといわねばならない。

(多田 上野正 岡垣)

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