大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和39年(ネ)494号 判決

被控訴人と訴外大塚義夫間の前記継続的金銭貸付契約や根抵当権設定契約等は、実は訴外豊島保雄が自己の用に充てるため、被控訴人を代理してこれを結んだものであつて、豊島は被控訴人に対し自己の責任で必ずこれを返済することを約していた。昭和二八年一二月頃右の借用金が金一〇万円となり、大塚義夫より強くその返済を迫られたので、豊島保雄は知人山東義次郎を介して知つた控訴人に対し窮状を打明け借替えを懇願した。その結果控訴人より大塚義夫の場合と同様に家屋を担保にすれば、半額位の金利(日歩金二五銭)で貸してもよい旨の返事を得たので、豊島は義母(被控訴人の妻)森田ハツに対し借替えの事情を告げて同女より被控訴人の印鑑を借受け、更にその頃被控訴人に対し、大塚の場合と同様に家屋を担保に出せば大塚の半分の金利の控訴人に借替られること、その借金は、豊島が硫黄の粉砕の仕事の稼ぎで必ず返済することを約し、その諒解を求めたので、被控訴人はこれを承諾し、抵当権設定や公正証書作成など貸借に要する手続を豊島に任せた。(中略)

然しながら原審における控訴人本人尋問の結果によると、金一〇万円と謂う金額は控訴人にとつて、さして大金ではなく、訴外豊島保雄より懇願され、手許に余裕があつたので、貸与するに至つたことが窺えるので、日歩二五銭の遅延損害金の約定は、控訴人が蒙つたものと推測される損害の補償として不当と考えられ、前認定の諸般の事情を考慮すると、日歩一〇銭を以て相当とする。

(岸上 室伏 斉藤)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!