大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ラ)10号 決定

よつて、判断するに、仮処分命令に対する異議の申立は、仮処分命令を発した裁判所になすべきであり、この異議申立によつて開始される仮処分訴訟事件は、当該仮処分裁判所の管轄に属するものと解せられる。しかし、その訴訟状態は、新たに仮処分命令を申請した場合のそれと異るところはないのであるから、結局、異議申立後の仮処分訴訟事件は、仮処分命令申請事件と同じく、民事訴訟法七五七条一項により本案の管轄裁判所の管轄にも属するものと解すべきである。もつとも、右にいう本案の管轄裁判所は、本案訴訟がすでに提起されている場合には当該訴訟の係属する裁判所のみをさすものと解すべきであるから、たとえ、本案訴訟事件につき土地及び事物の管轄権を有すべき裁判所が他に存在しても、その裁判所は本案訴訟の係属する裁判所から当該事件の移送を受けないかぎり、(移送決定の確定によつて移送の効果を生じないかぎり、)仮処分命令ないしは仮処分異議訴訟の事件につき管轄権を有しないものというべきである。

ところで、原決定によれば、再抗告人は、相手方を債務者として、昭和三八年五月六日、本案訴訟の係属する浦和簡易裁判所に対し仮処分命令の申請をなし、同裁判所は右申請を容れて仮処分命令を発し、相手方は右仮処分命令に対し同裁判所に異議の申立をなし、右仮処分異議訴訟について、同裁判所は、相手方の申立によりこれを相手方の普通裁判籍所在地を管轄する宇都宮簡易裁判所に移送する旨の決定をしたというのである。してみれば、右仮処分異議訴訟事件は、本案訴訟の係属する浦和簡易裁判所の管轄にのみ属するものというべきであり、宇都宮簡易裁判所は右事件について管轄権を有しないものというべきである。

もつとも、原決定によれば、右本案訴訟事件もまた宇都宮簡易裁判所に移送されたというのであるが、本件移送決定当時は元より原決定当時この移送決定が未だ確定していないことは記録に徴し明白であるから、前段の結論を左右するものではない。

したがつて、浦和簡易裁判所が前記仮処分異議訴訟事件を宇都宮簡易裁判所に移送する旨の決定をなしたのは、民事訴訟法三一条の解釈を誤つたもので違法というべく、抗告人の抗告を棄却した原決定もまた違法であり、本件再抗告は理由がある。

(牛山 岡松 川嵜)

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