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東京高等裁判所 昭和39年(ラ)449号 決定

次に抗告人は、本件競落の基礎となつた競売の期日の公告には、競売法第二九条所定の要件の記載がない旨主張するので、この点について判断する。

(一) 抗告人は、前記競売期日の公告における東八代郡一宮町中尾第三四七番の一家屋番号同所第二一二番の家屋の表示中「木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建居宅一棟建坪十四坪(現況坪数二〇坪七合五勺外二階六坪)」と記載してあるのは第二一二番の家屋中の右建坪一四坪の居宅一棟と同所家屋番号同所第三四七番一ブロツク造及び木造セメント瓦葺二階建店舖兼居宅一棟建坪六坪四合五勺二階六坪六合とを合せて一棟の家屋として表示したものであるところ、右二棟は別個の建物であるからこれを一棟として建坪も合計坪数を表示した右公告の記載は競落家屋の最低競売価額にも影響を及ぼす違法のものである旨主張する。そうして本件記録によれば、競落物件である前記家屋は登記簿上は「東八代部一宮町中尾第三四七番の一家屋番号同所第二一二番木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建居宅一棟建坪一四坪、重石ブロツク建亜鉛メツキ鋼板葺平家建店舖一棟建坪一六坪、木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建倉庫一棟建坪三五坪」と表示されていることが認められるところ、記録中の鑑定人小笠原茂作成にかかる「不動産評価取調につき報告」と題する書面によれば、次の事実が認められる。すなわち前記家屋のうち建坪一四坪の居宅については、その東に接続して瓦葺二階建の店舖が新築され、さらに右居宅の一部が二階建に改築されて一体をなしており、現状は間口二間、奥行八間の木造亜鉛メツキ鋼板葺及び瓦葺一部二階建店舖兼居宅に変更している。なお右建物の南と北に勝手、風呂場、便所等が附置されており、建坪は二〇坪七合五勺外二階六坪となつている。

以上の事実を認めることができ、他にこの認定を左右するような資料は存在しない。

右認定の事実によれば、前記建坪一四坪の居宅はその後増改築がなされて登記簿上の表示と現状とが相違するに至つていることが明らかであるけれども、右増改築部分は前記居宅と一体をなし、これに附合しているものと認められる。従つて右部分の所有権もまた前記居宅の所有者である抗告人に帰属するに至り、右居宅に対する債権者商工組合中央金庫の抵当権もまた右増改築部分に及んでいるものというべきであるし、また最低競売価額の決定の基礎となつた前記鑑定もまた右事実に基づき増改築部分を含めた居宅全部が競売物件であるとの前提のもとになされていることが記録上明らかである。

よつて右に述べたところと異り、増改築部分が別個独立の建物であることを前提とする抗告人の主張は採用の限りでない。

(二) また抗告人は前記居宅の現状はブロツク造及び木造セメント瓦葺二階建店舖兼居宅であるのに、これを木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建居宅と表示した競売期日の公告は、適法な競売不動産の表示を欠く不適法なものである旨主張する。しかしながら右居宅の現状は前記認定のとおりであり、競売期日の公告には前記登記簿上の表示のほか、現況坪数二〇坪七合五勺外二階六坪であることが附記されていることを併せ考えれば、右の程度の不一致があるからといつて競売期日の公告における不動産の表示と競売不動産との間に必ずしも同一性が欠いているものとは認められないし、また本件における最低競売価額決定の基礎は前記のとおりであつて、右不一致が競売不動産の最低競売価額に影響を及ぼしたとも認められない。よつて抗告人のこの点に関する主張もまた採用の限りでない。

(満田 中川 藤田)

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