東京高等裁判所 昭和39年(ラ)490号 決定
思うに、家事審判法が非訟事件的性格を有するといわれている同法第九条第一項乙類各号事件の一として遺産の分割に関する処分を家庭裁判所の審判事項として規定したゆえんのものは、審判の前提として当然予想のできる法律的紛争についての審理判断を同裁判所がなし得ることを予定したからであつて換言すれば、家庭裁判所は、審判の前提として、関係者間に争いのある事実上及び法律上の点に関し判断をなすことを辞することができないものと解すべきである。原審判は、「家事審判手続の非訟事件的性格」のゆえにこの点を消極に解すべきであるとするが、家事審判を経た事項についても、なお後に訴訟による解決の途が残されていることから考えて、理由となすに足らない。してみれば、本件において原裁判所が、前示の協議書と題する文書がある以上、訴訟手続によらないでその効力を否定し遺産分割の協議がないものとして審判手続を進めることは許されないとの理由で抗告人らの申立を却下したことは、法律の解釈を誤つたものとして、失当である。
(岸上 中西 室伏)