大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和39年(行コ)53号 判決

控訴人は、被控訴人が国会及び内閣に対して報告した昭和三八年人事院報告書中の控訴人に関する記載部分は事実に反するとして、右虚偽事実を記載した文書の作成行為に対して異議の申立をしたところ、被控訴人は、被控訴人が国家公務員法第二四条の規定に基き国会及び内閣に対して行う業務の状況の報告は、行政不服審査法第二条にいう処分に当らないとして控訴人の異議申立を却下した。これは異議申立に関係のない理由によつて控訴人の申立を却下したのであつて、違法であると主張する。

よつて按ずるに、控訴人が被控訴人に対し控訴人主張の趣旨の異議申立を行つたこと、並びに被控訴人は控訴人の右異議申立を却下し、その理由として「人事院が国家公務員法第二四条の規定に基き、国会及び内閣に対して行う業務の状況の報告は行政不服審査法第二条に規定する処分に該当しないので、これに対する同法第六条の規定に基づく異議申立はすることができない」と示されていることは当事者間に争がない。ところで、被控訴人の示した前記異議申立却下理由は、前記文言自体によれば被控訴人が行う前記業務の状況の報告のみを対象としているが、その趣意は、右報告文書の作成をも含めているものであることは事柄の性質上当然であるといわなければならない。従つて、被控訴人が控訴人の異議申立と関係のない理由によつて控訴人の異議申立を却下したとの控訴人の主張は理由がない。しかして、事実を記載したこのような文書(注、国家公務員法第二四条の規定に基く報告文書)の作成は公権力の行使に当る行為でなく、また国民に法的な不利益を生ぜしめる行為でもないから、前記業務の報告書中の控訴人に関する記載部分が事実に反するものであつても、右報告書の作成をもつて行政不服審査法第二条にいう処分に当るものということはできない。

(仁分 池田 小山)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!