大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(う)1191号 判決

被告人 村山耕智 外六名

〔抄 録〕

控訴趣意中、供与される利益の対価である職務が特定しないとの主張について。

論旨は、原判決は被告人菊地につき「ヤマト工業が入札参加業者としての指名を受け及び右工事を請負い施行する際の指導監督検査などを受けるにあたり、好意ある取計らいを受けたことに対する謝礼並びに将来も同様の取り計らいを受けたい趣旨のもとに供与し」と判示しているのみで、具体的にいかなる請負工事につきさような好意ある取計らいを受けたかという点については何等の判断もしていないのみならず、原判決挙示の証拠によつては被告人菊地が右趣旨の下に供与をしたと認めるのは証拠不十分であるというのである。

しかし贈賄罪の成立には一定の職務に関して不法利益の供与、申込、約束があることを要するだけでその職務中個々の職務行為に対する対価的利益であることを要しないから、一定の職務行為に対する謝礼たることを判示する以上、更に進んでその職務中個々の職務行為に対する対価たることを判示しなくても贈賄罪の判示として欠ける点がないと解すべきである。したがつて、原判示は罪となるべき事実の判示として十分で具体的にいかなる請負工事に関するものか明示してなくても理由不備ということはできない。

(新関 中野 伊東)

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